受験勉強、資格試験、英語、さらには仕事や投資などのスキルの習得……
社会人でも、学生でも、自己実現や仕事、生活のなかで、成果の求められる学習の機会は数多くあります。
しかし、
「学習でイマイチ成果が出ない…」
「勉強が苦手…勉強のやり方にいつもさ迷っている…」
など、勉強や学習をしようと思ってもすぐに挫折してしまったり、成果が結びつく前にやめてしまったりと、悩んでいる方も多いと思います。
そこで、あらゆる「学習」に共通する効果のある学びと成果の出し方の本質についてまとめてみました。
私自身、これまで、大学受験、公認会計士試験、その他の検定試験、英語の学習、仕事や投資などのスキルの習得など、様々な場面で学習を行ってきました。簡単に私の受験歴の大きなものを書いておくと以下のような感じです。
・中学受験:渋谷教育学園幕張中学
・大学受験:慶應義塾大学法学部
・資格試験:公認会計士
その過程で、効果的な学習、結果を出すための学習や勉強について試行錯誤を繰り返してきました。
そうした経験から、私があらゆる学習の「本質」であろう結論に至ったので、内容をまとめてみたいと思います。
ここで念のため、断っておくと、私は、決して秀才タイプでも、特殊な記憶能力などを持った人間ではありません。
むしろ、いつも近くにいる優秀な人たちの能力に憧れたり、「世の中、不公平だな…」などと思ってきたタイプでした。
しかし、学習を続ける中で、成果を出す学習とは、単なるスキルだということに気が付きました。
誰でも、やればできる、そういう類のスキルだということを…
特に公認会計士試験の勉強で苦労した経験は、私にそのことを確信させました。
ここからはそのすべては書いていこうと思います。
学習する環境を整える
まずは、学習環境を選ぶ、作るということが何より大事だという話をします。
環境とは以下のようなものを指します。
2.場所
3.教材
とにかく、勉強するための環境を選んだり、環境を作ったりするという事が一番大事になります。
後述する、継続の方法や学習のスキルの土台ともなるのが、この環境の話になります。
実は、環境を選ぶという話は、「自分を知る」ということと同じ話なのです。
「どんな勉強スタイルが自分に向いているのか、好きなのか」
それを知ることが、勉強や学習をする環境を選ぶことにつながります。
特に勉強が苦手という人は、ぜひ正直に、自分というものに向き合って、ストレスがない環境を追い求めてみください。
1.時間帯
一般的に、朝型や夜型に分かれると思いますが、夜型の人は過度に夜遅くならないようにした方がいいでしょう。
生活リズムを整えるが難しくなる可能性があるためです。
また、社会人の方は、すきま時間を上手に利用できる方もいれば、逆にまとまった時間の方が集中しやすい方もいるでしょう。
いつ学習の時間をとるかという問題は、本当に個人差があります。
このように、学習時間の確保の問題は、環境選びの基礎といえます。
2.場所
家でできる人もいれば、カフェでやるのが好きな人、図書館でやるのが好きな人、様々だと思います。
ここでなら落ち着いて集中して学習できるという、「お気に入りの場所」を見つけてやりましょう。
私の友人で、ベッドの上で勉強をするのが好きな人がいて、それで難関高校に受かった人がいます。
「勉強はこうでなきゃいけない」
「勉強はこうしなければいけない」
そういう固定観念は、自分を苦しめます。
自分が居心地がよく、集中できて、効率があがるスタイルであれば、正直、何でもいいのです。
(ただし、他人の迷惑になることだけはやめましょう。)
ぜひ、快適で集中できる場所を探しみてください。
3.教材と道具
これだけがんばろう、と思える「気分のあがる」1つの教材を見つけることから始めます。
例えば、紙のテキストであれば、開いた瞬間に気が滅入りそうなテキストなんて、だれでも長続きできません。
自分にとってのとっておきの教材を1つ決められたなら、学習の継続の基礎ができたといってもいいと思います。
また、教材だけでなく、その他の学習に使う道具についても、自分の好きなモノだけでそろえるというのは、気持ちの上でとてもプラスになります。
学習を続けるためのスキル
モチベーションは関係なく、毎日の小さな習慣を作り積み重ねる
環境が整ったならば、その環境で学習を継続していくことが必要となります。
多くの人が勘違いしていると思うのは、勉強や学習を続けるためには、高いモチベーションが必要だと思っているという点です。
もちろん、高い目標に向けたモチベーションを燃やし続けながら、学習に向かえる意志の強い人はいると思います。
しかし、普通の人は、学習期間が長くなるほど、モチベーションだけで勉強し続けることは難しくなります。
目標はあっても、その強い気持ちをずっと、切迫して、感じ続けられる人というのはまれだということです。
私の答えは、モチベーションではなく、「習慣」です。
朝、歯を磨くのと同じような「習慣」です。
人は毎日、同じことを繰り返しいくと、だんだんとそれをやらない事の方が気持ち悪くなる性質があります。
毎日、同じ時間、同じ場所、環境に身を置いて、形だけでもいいので、少しの時間でもいいので、学習時間を確保するのです。
形として、とりあえずでもいいので、毎日続けるのです。
そうすると、だんだんと、体が、その時間、その場所で、学習に集中できるようになっていきます。
最初は、キツイと感じるかもしれませんが、とにかく形だけでも続けるのです。
毎日決まった流れで勉強をする「リズム」を作り、ルーティン化すしてしまうと、徐々に、淡々と学習を続けることが習慣化していくのです。
これがとても大事だと考えています。
ご褒美を作る
一定期間、これが続けられたなら、自分にご褒美をあげて下さい。こうして、脳の報酬系に働きかけることで、ますます習慣が強固なものになります。
ご褒美は、自分がうれしいと感じる、どんなものでいいです。
一定期間後のご褒美も含めて、ルーティーン化してみてください。その頃にはもう、すっかり学習習慣が身についていると思います。
習得のためのスキル
最後に、結果の出せる勉強法について書いていきます。
2.回転量が大事(脳の記憶されている場所に何度もアクセスする)
3.一つの教材だけを繰り返す
4.無限のパターンの問題に対して限定された「道具」で挑む
これは、あらゆる学習の本質的なことであると確信していて、どんな学習やスキル習得にも応用できるものです。
1.インプットとアウトプットのバランスが大事
ほぼすべての学習には、情報を頭に入れるフェーズのインプットと、インプットした記憶を試すアウトプットのフェーズがあります。
例えば、勉強でいえば、参考書を読んでインプットした内容を、問題集などを解くことでアウトプットしますよね。
仕事でもスポーツでも、理屈を学んだら、実際に手や体を動かして初めて身に付きます。
この2つのフェーズのバランスが大事になります。
インプットだけでも、アウトプットだけでも、習得は難しいということになります。
学習の種類によって、インプットとアウトプットの量や質は変わってきますが、本質的なことをここでは書いていきます。
結論として、「インプットしたら、とにかくすぐにアウトプットする」、という事が重要になります。
多くの人はインプットだけしたら、「勉強した気」になってしまいがちです。
これは野球でいえば、素振りの理屈を学んでも、打席ですぐに打てないのと同じです。
記憶についてはでは、エビングハウスの忘却曲線というものがよく知られていますよね。
(→人は1度勉強したことを1時間後に56%忘れ、1日後には74%、1週間後には77%、1カ月後には79%を忘れるいうデータあります。)
忘れることを前提に、学習するのです。
インプットした内容を忘れる前に、脳みその記憶にアクセスしてやることで忘れることを防ぐのです。それがアウトプットの目的です。
アウトプットのもう一つの目的は、本当に理解できているかを確認することにあります。
アウトプットによって浮き彫りになった弱点から、まずは徹底的に潰し込んでいきます。
この時、分かっているところも含めて満遍なく、やってはだめです。できていないところだけをひたすらやり込むのです。
学習というのは、とどのつまり、これだけです。これが本質です。
また、学習量が多いときには、どうしても先に進めることだけを優先してしまいがちです。
先に進めることも大事ではあるのですが、アウトプットで分かった、「できていない所」をとにかく押さえるのです。
これは、勉強や学習に限らず、あらゆるスキル習得にも共通します。
読んだり、聞いたりして学ぶことをしたら(インプット)、必ず「行動」というアウトプットをすることが非常に重要です。
そして、「行動」からトライアンドエラーを繰り返して、改善していくのです。
要はアウトプットのフェーズが非常に大事だという事です。
2.回転量が大事
「インプットしたら、すぐにアウトプットして、できていないことを改善して習得する」という事を上述しました。
これを一通り最初から最後まで行ったら、あとは、これを可能な限り繰り返していくのです。
繰り返していく段階で大事なことをは、アウトプットをメインして、インプットをしていくことです。
あくまで、アウトプットを中心に行うことが大事です。
勉強で言えば、これが、忘れることを前提に学習する、ということなのです。
忘れるスピードに追い付くように、アウトプットをして、脳みその記憶にアクセスする回数を増やしながら、記憶の回線を太くしていくイメージです。
そうすることで、どんどん思い出しやすくなるし、スキルであれば、考えなくても体が動くようになっていきます。
3.一つの教材だけを繰り返す
もう一つ大事な点は、1種類の学習教材、マテリアルだけを繰り返すということです。
いろんな種類の教材に手を出して、大量にこなす、というのでなく、1種類を繰り返し回転して、すべての内容をほぼ完璧になるまで潰し込むのです。
いろんな教材に手を出すと、とりわけ頭の良い方でない限りは消化不良になり、結果的に時間をかけた割に、習得できていないことが多いです。
1種類の教材を極めるだけで、普通は事足りることが多いですが、それでも他の教材に手を出しいくのであれば、ある1種類の教材が完璧になった後です。
その時に初めて、他の教材の学習の効果が発揮されます。
4.無限のパターンの問題に対して限定された「道具」で挑む
試験勉強にしても、語学や、仕事にしても、対処しなくてはならない問題は無数に、無限のパターンがあります。
たとえば、資格試験の問題では一見、見たことのない問題が出題されるし、英会話では、新しい表現や言葉との出会いに満ちているし、仕事では誰も経験したことのない問題に直面します。
こういったことに対する学習の方法として、その無限のパターンを勉強して習得しよう、という考えは非常に非効率です。
正直なところ、いくら学習をしても、未知の領域は消えることはありません。
そこで大事な考え方は、すでに知っている知識、スキル、「道具」で、問題に臨むということです。
学習で得られる「限られた典型的なパターン」を組み合わせることで問題に対処する、というのが正解の行動であると私は考えています。
私の経験上、こうしたすでに手にしている「道具」を使えば、多くの問題は解決に導くことができるのです。
逆に言えば、その「限られた典型的なパターン」をしっかりと身に着けることが大事だという事になります。
最後に
以上、学習のスキルについて書いてきました。いかがでしたでしょうか。
なんだそんなことかと思われるかもしれません。
習得というのはこれくらいドロ臭い作業なのです。
一部の天才を除いて、こういう泥臭い作業を繰り返していくことで、だんだんとできるようになっていき、自信もつけていくことができます。
最後に、一つエピソードを紹介します。
よく「君ならやればできるよ」とか「彼/彼女ならやればできるんじゃない」みたいな話をよく聞きます。
私はこの話を聞くといつも思うことがあります。
それは、
「やればできる」の「やる」が一番難しいんだけどね…
ということです。
口で言うのは簡単です。その「やる」ということを地道にドロ臭くやることにこそ、学習や習得の本質があります。
「やればできる」と思えることは気持ちの上では大事ですが、その「やる」をいかにやるか、ちゃんと試行錯誤して、実際に体を動かして、行動することが大事だと、最後に記して、終えたいと思います。
様々な学習を通して、皆さまの人生が豊かになることを祈っております。
以上、参考になれば幸いです。