会計士試験の鬼門ともいうべき短答さえ合格すれば、論文合格をぐっと近くにたぐり寄せることができます。
短答試験の1か月前の直前期は、誰もが不安になりやすいところ。
「短答に失敗したくない、直前の勉強法を間違えたくない」
「直前期って何か、特別なことをする必要あるの…?」
「公開模試で思うに点数が伸びなかった…」
そんな悩みや迷いに対して、何度も短答に失敗した私の経験から、短答の直前期に、どんな風に時間を過ごすべきか、そして、何をしてはいけないのか、についてまとめていきたいと思います。
2014年度に公認会計士試験に合格したときの成績表と勉強法まとめは、こちらからどうぞ。
①スケジュールとTODOリストを作る(やみくもに勉強しない)
まず直前1ヶ月の時間はまたたく間に過ぎていきます。なんとなく勉強したり、やみくもに手当たり次第に勉強していると、おそらく試験当日に後悔することになるのではないかと考えています。
試験前日までの詳細なスケジュールを作り、何をこなしてから試験当日をむかえたいかを、かなり細かくリスト化してメモしておくべきです。
それが、直前期のメンタルの安定にもつながるし、ぐっと勉強の完成度も高まります。
②全科目をまんべんなく仕上げる(特定の科目だけを勉強しない)
直前期の前は、特定の科目だけを徹底的に深堀りするスタイルでやる方もいます。
しかし、これは勉強初期や中期には有効であっても、直前期にこれをやると、試験当日の完成度にかなりムラが出ます。
時間が足りない中で、大量の問題を効率よくさばいていかなければならない短答式では、かなり「瞬発力」が求められます。
そのような中で、完成度にムラがあると、一つの科目で失敗する確率が高まります。
そこで、試験直前期こそ、全科目をまんべんなく触り、それまでに蓄えた自分の脳みその記憶にアクセスし続けることが大切です。
③計算科目の時間を確保すること(理論科目ばかりやらない)
2つ目と内容はかぶりますが、まんべんなく仕上げる、ということを、計算科目と理論科目の視点から考えたいと思います。
これは個人的には直前期の学習上のかなり肝になるところと考えています。
まず、予備校などでよく聞く、直前期の勉強の考え方から書いてみたいと思います。
「直前期は理論の暗記が大変だから、それまでに計算科目を完成させてしまおう」
「直前期に近づくにつれて理論科目の勉強を増やし、本試験の直前は短期記憶が効くから理論科目を詰め込みましょう」
なんて、よく私は耳にしていました。
確かにこれは一理はあります。計算科目を直前に悪あがきするなんて、確かに現実的ではないです。理解に時間がかかりますから。
また、直前に覚えた記憶の方が、試験当日に使いやすいので、理論科目の比重の増やすというのも分かります。
しかし、これは少し理想主義的すぎるんじゃないかと私は思っていました。こんなにうまくいきますかね…
まず、「計算が完成」なんて自分で納得できる状態が訪れるのかどうか、という点、そして膨大な記憶を求められる理論科目…直前だけでどうにかなるのか。
短答を何度も落ちた私は、少しこの考えをあらためていました。
結論、直前だけで理論科目の暗記はどうにもならないし、計算科目もおろそかにしてはいけない、です。
つまり、「理論も計算も直前期の最後まできっちりやる」ということ意識していたのです。
始めは、もちろん比重の大きい計算科目をメインにする、というのは大事な事です。
そして、理論科目は理解しながら少しずつ続けてやっておく。直前期だけやって間に合わせようということは始めから考えない方がうまくいきます。
直前期に近づくにつれて、少しずつ「全科目をバランスよく」比率を整えていき、理論科目は直前期までに覚え直した方がよいポイントをはっきりさせていくのが、非常に効率的です。
直前期は、頑張って計算を減らさないないように、理論の時間に押されないように最初から計算時間枠を一定時間とってしまうのが良いと思います。
私がなぜこのような考えに至ったのかについて書きます。
理論科目の短期記憶は確かに重要です。短期の記憶が生きるのは間違いない事です。
しかし、個人的な経験則では、試験日の出来具合は、理論よりも計算の方が、直前期の仕上がりの影響が出やすい、と感じたからです。
前述の通り、時間が圧倒的に不足しがちな短答試験の計算はかなり「瞬発力」が求められるからです。
かなりサクサクと問題をさばいていかなければなりません。
しかも、理論科目よりも計算科目の方が得点比重が若干高く、しかも、習得していれば、得点しやすいものが多いです。
また、理論科目について、公認会計士試験ほどの膨大な勉強量の試験で、一夜漬け的な勉強法では通用しないと個人的には思います。
個人的には、直前期だけ暗記しまくるという勉強は本試験の問題の揺さぶりに堪えられないと感じました。
だったら、しっかり最初から準備しようと考えていたのです。これは私が合格する上では有効なやり方だったと最終的には思っています。
④これまでやってきた教材だけを繰り返すこと(新しい教材に手を出さない)
直前期はこれまでやってきたことの総復習がメインの学習方法になります。
この時期に、新しいことをインプットしたり、新しい教材に手を出すのは非常に効率の悪いことです。
新しい教材や内容をこのタイミングで触ることで、残り時間の少なさから、それ以外の学習内容をおろそかにしてしまうことになります。
上述の通り、この直前期の完成度が試験当日のパフォーマンスを左右します。
すでに学習した内容をより確実に得点できるようにするのが、 この時期で大事な事になります。
私が試験直前期に行った学習内容を記載しておきます。
その前に、合格年の、試験当日の約1ヶ月前に行われた短答公開模試の成績も大まかに載せときます。
合格した年は、この状態で残りの1ヶ月弱を迎えることになりました。
財務会計:約8割
管理会計:約7割
監査論:約6割
企業法:約9割
(この成績は、何度も短答に落ちている私の例ですので、残り1ヶ月で、ここまでの得点を取れなくても十分に合格レベルに達することができます。)
財務会計(理論):一問一答問題集を1周。テキストの覚えなおしたい箇所の読み返し。
管理:(計算)問題集の解きなおしたい問題のみ反復。短答答練、過去問の気になる問題のみ解き直し。(理論)一問一答問題集を1周。テキスト通読1周。原価計算基準を読み直し。
企業:短答問題集の最終チェック。短答答練の解き直し1、2回ほど。テキストの覚えなおしたい箇所を読み直し。
監査:短答答練の解きなおしたい問題のみ1周。テキストをひたすら読む。法令、倫理規則など読み返し。
私の場合、公開模試にはなんとか一度完成させようと考えていました。しかし、それがなかなか難しくて、模試後も継続して穴埋め作業をやっている部分もありました。
⑤本試験日の生活リズムに合わせること(夜更かし、徹夜などしないように)
最後に、生活リズムについてです。
試験日が近づくにつれ焦る気持ちは分かりますが、この時期こそ、十分な睡眠をとり、規則正しい生活をすることです。
睡眠が記憶の定着を促すことはよく知られています。
この直前期の睡眠不足はそのまま試験当日のパフォーマンスの大きなリスクになります。
また、1で記載したスケジュールやTODOリストを確実にこなすためにも、生活リズムを整えることは非常に大事です。
夜更かし、徹夜などせぬよう、着実にコツコツと続けていきましょう。
まとめ
以上、あらためて5つのポイントをまとめると以下の通りです。
2.全科目をまんべんなく仕上げる(特定の科目だけを勉強しないように)
3.計算科目の時間を確保すること(理論科目ばかりやらないように)
4.これまでやってきた教材だけを繰り返すこと(新しい教材に手を出さないように)
5.本試験日の生活リズムに合わせること(夜更かし、徹夜などしないように)
皆さまが短答でよい準備ができることを祈っております。
以上、ご参考になれば幸いです。