【会計士試験】財務会計論(計算・簿記)の勉強法まとめ(苦手にさえしなければOK)

 
会計士試験の科目別に、短答対策から論文対策まで、私自身の勉強記録をもとに、勉強方法をまとめています。

財務会計論は会計士試験の根幹の科目であり、最もボリューミーですから、苦手にしてしまうとかなり苦労するのがこの科目。
「時間をかけてる割に、点数がついてこない」「苦手意識がある」などの悩みがある方は、ぜひ参考にしてみてください。

まずは財務会計の成績だけ抜粋します。

(短答)140点(計算:76.6% 理論:60%)
(論文)会計学 55.41(523位)(第三:32.15 第四:43.15 第五:47.6 )
※財務は割と良かったのですが、管理の悪さで押し下げています…

 
2014年度に公認会計士試験に合格したときの成績表と勉強法まとめは、こちらからどうぞ。

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目次

短答試験の基本的な戦略

この科目は、短答から論文までを通して、もっとも肝となってくる科目。

なにしろ、一番ボリュームが多いうえに、配点も高いので、最もカギを握ってきます。

また、計算が安定しているのとそうでないのとでは、論文の勉強においても、理論の習得の効率に大きく影響してくると思います。

だからこそ、多くの人が言うように、せめて苦手にはしないように、特に勉強開始当初から短答までは、最も力を入れるべき科目です。

かといって、財務会計にこだわりすぎて、「どうしても一番得点できなければならない」とまで気負ってしまう必要はないと考えています。

財務会計の計算を他の得意科目でカバーしようという戦略は取らない方がいいですが、他の受験生と同じような平均的なレベルに持っていくことが最重要です。

この意識だけで、だいぶ会計士試験全体の戦略がとりやくなります。

 

短答試験に向けてやったことまとめ

 

①テキスト例題の反復が勉強の中心

②テキスト例題は、「問題-仕訳-下書き」のセットが定着するように繰り返す

③短答答練・1時間答練は、テキストに戻るためのキッカケの教材として使用

④短答答練・1時間答練は、頭の体操にもう一度やりたい問題だけ、時間の許す限り復習

⑤構造論点(キャッシュフロー計算書、連結・企業結合・事業分離など)については、答練の良質な総合問題を反復

 

勉強内容について具体的に

①テキスト例題の反復が勉強の中心

膨大な論点がある中で、限られた回数の答練に出てくるのはその一部です。そのため、典型的な処理である、テキストの例題を潰すことに集中しました。

短答対策には、多少の細かい会計基準も仕訳レベルで押さえました。
例えば、リースの貸し手、オプション取引、ヘッジ会計、一株当たり純資産など。これらは十分に出題の可能性があり、それもちょっと知識をいれておけば、解けるようなレベルの問題も出ます。

②例題は、「問題-仕訳-下書き」のセットが定着するように繰り返す

これが例題を解く目的でした。問題で、典型的な会計基準上の処理を理解し、「仕訳」と、問題を解く上で書くべき「下書き」をパターン化して、セットで記憶していきました。

③短答答練・1時間答練は、テキストに戻るためのキッカケの教材として使用
④短答答練・1時間答練は、頭の体操にもう一度やりたい問題だけ、時間の許す限り復習

③と④について、答練だけではすべての論点を押さえるきることができないので、これだけを繰り返し解くことはしませんでした。気になった問題だけを一部、解きなおした程度です。

短答答練を解く目的は、あくまで「本試験の時間配分を管理する練習」と、「予備校のヤマ当てに触れる」ことでした。

⑤構造論点(C/S、連結・企業結合etc)については、答練の良質な総合問題を反復

構造論点は特に、解答の流れや下書きの作り方を「体得」できているかが重要でした。
それには、テキストを見ることよりも、実際に良質な総合問題を何度も解くことが必要でした。

また、連結・企業結合・事業分離ではテキストの例題の一つ一つに下書きと解答上の注意事項をメモり、それを回しました。最終的には、問題を解かなくても、テキストを見るだけで論点と解法と注意事項が自然と浮かぶようになりました。

なお、直前期は、時間がなくなってきたので、付箋を貼った苦手な論点だけテキスト例題だけを回しました。

短答対策上の重要なポイント

一部繰り返しになりますが、重要なので、まとめておきます。
財務会計の勉強の全体を通して、私が特に意識した学習の流れは以下の通りです。
 

①対象の取引をできるだけイメージする(難しい取引もありますが…)。
②取引を通して「仕訳の理解」をする。
③数字を算出するための、「一貫性のある」下書きやタイムテーブル等を確立する(解答スピードを上げるために)
④最後にもう一度「仕訳の理解」に戻る。(理論的な背景と計算の過程を連携する)

 

上記の理由は以下の通り。

①②④:本試験の初見の問題に対応できるための本質的な理解が必要だから
③:反射的にスピーディーに解答作業をこなすために

 
本試験では見たことのないタイプの問題に出くわす確率は高いです。
これは、たとえ基本的なところを問われていても、理解していないと解けません。

決して難しいことを問われているわけではありません。むしろ、その変化球は基本的な理解があればかわせるレベルです。

しかしながら、本試験の緊張感の中で、これに気付くのが難しい。
あるいは、反復不足のために基本知識の武装が追い付いていないことが多いのです。

私が、短答を何度も落ちて気付いたのはこの点です。

これを克服するには、しっかりとテキストの例題と向き合って、腑に落ちるまで何度も解説を読み込むことだと思いました。

「基本」の「体得」こそが勉強の大半を占め、かつ、しっかりと理解しようとすると「基本」とはいえ、決して楽なものではないという事です。

 

論文試験の基本的な戦略

 
計算(財務会計第3問)は、答えを出せるか出せないかで点差がつくため、取りこぼすと、点差がつきやすいです。

そのため、私は、理論がメインとなる論文でも、財務の計算は気を抜くべきではないという考えのもとに対策していました。
 

論文試験に向けてやったことまとめ

①論文答練・1時間答練の総合問題で短答の力を維持

②論文答練・1時間答練のうち苦手な問題は、時間の許す限り復習

③解くスピードを意識する

 

勉強内容について具体的に

 
重点的に行ったことは、資料から解答に必要な情報を抜き出し、素早くスピーディーに解答を導き出せる訓練でした。
これにより、短答の時の力を維持していました。

なお、私の場合、連結・企業結合・事業分離など、論文でより重視される論点に関しても短答の時に一通りのことは終えており、短答合格後に新しくキャッチアップすることはありませんでした。

結果的に、短答時の財務会計の習熟度が高かったことで、論文時に非常に安心感をもてました。

論文については以上になります。
理論がやや多い論文でも、計算の取りこぼしは意外と高くつきます。抜かりなく、短答の時の力を落とさないようにしておきましょう。

以上、参考になれば幸いです。
次回は理論についてまとめます。

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サイト運営者

【職業】
❏ IT監査人 (公認会計士 / 公認情報システム監査人(CISA))
【コンセプト】
❏ このブログは、「自分らしく人生を豊かに生きる」を追求するべく、一人の公認会計士が試行錯誤してたどり着いたキャリア論や学習論を発信しています。
❏ 現役のIT監査人としての生の情報を公開するとともに、度々の転職経験と、受験や難関資格試験を経て得た学習の考え方をご参考ください。
【経歴】
❏ 慶應義塾大学卒業後、上場会社の社内SEを経て、公認会計士を取得。金融機関及び上場会社のIT統制監査をメインに監査業務及びコンサルに従事。会計アドバイザリー、システムリスク評価支援なども経験。

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