会計士試験の科目別に、短答対策から論文対策まで、私自身の勉強記録をもとに、勉強方法をまとめています。
まずは管理会計の成績を抜粋します。
(論文)会計学 55.41(523位)(第一:15.15 第二:28.2)
論文がさえない結果となりました。特に第一問がやってしまってますね…計算ミスをしていそうです。
この第一問が会計学全体の点数を押し下げている要因であり、論文式試験全体の中でも最もしくじった部分となりました。
管理会計論は会計士試験の科目の中でも得意な人と不得意な人が分かれやすい科目だと思います。
私は、完全に苦手科目で、会計士試験科目の中で最も苦労した科目と言ってもいいかもしれません。
ですので、たとえば、以下のような悩みを抱えた方には今回の記事が参考になるのではいかと思います。
・毎回、答練や本試験で、時間が全然足りなくて、打ちのめされる
・対策の仕方でさ迷っている
なお、私のように管理会計論がどうしても苦手だという方に向けて、より深掘りした記事を書いていますので、本稿で基礎的な学習法をご確認の上、以下もご参照ください。
2014年度に公認会計士試験に合格したときの成績表と勉強法まとめは、こちらからどうぞ。
それでは、苦労した管理会計の勉強法を振り返ります。
短答試験の基本的な戦略
管理会計は、原価計算基準というものは一応存在していますが、財務会計における企業会計基準などの指針と違い、非常にあいまいな枠組みの中にある制度です。そのため、基本的に試験委員の個性が問題に出やすく、それが解きにくさにつながっています。
つまり、受験戦略上は、初見で資料を見てから解法が浮かぶまでの時間、解答中のミス回避、これらが精度とスピードアップの要だったと考えています。
受験初期はだいたい40点前後をうろうろしていました。中期になっても50点くらい、後半になってようやく65点前後が取れるようになりました。とにかく、悩みの種でした。
しかし最終的には、苦手なりの戦略を立てて、安定的に点数をもぎ取る策を取ることができました。
短答試験に向けてやったことまとめ
②(計算)短答答練で初見の問題への対応力を訓練する。短答問題集にないものだけ反復。
③(理論)テキストの熟読。原価計算基準の熟読。
④(理論)一問一答問題集を、インプット教材代わりにして何周かする。
勉強内容について具体的に
勉強の初期に講義とテキストで一通りインプットした後は、問題集が骨肉となるまで繰り返す!思い出すだけで辛かったです…1問8分とか9分かかってしまうような問題は、短答本試験では太刀打ちできないので、6分とか5分くらいでできるまで、トータル10回くらいはやりました。
それから苦手な論点については過去問の方も集めてきて、何回も繰り返しました。
計算で意識したのは「解く流れ・下書き」でした。
例えば、総合原価計算では、仕損や減損の進捗度や度外視・非度外視のそれぞれのパターンで、どういう流れで問題情報を下書きに反映し、どういう流れで電卓を入れていくのかを徹底的に体に馴染ませました。
管理会計論のすべての論点で、それぞれの解き方を体得する訓練をしました。もちろん、その過程で、理論的な背景の理解も必要でした。
また、「問題文の指示の意味するところを解釈する力」も重要でした。
これまでの本試験では、同じ問題文の指示でも、計算プロセスによって答えが異なることがありました。これは悪問といえば悪問なのですが、本試験会場でそれを見分けることはできない可能性があるので、まずは王道である計算プロセスを試した方が、うまくいく可能性が高い、というようなテクニック的なことも徹底的に訓練しました。
これにより、本試験での緊張感を下げ、落ち着いて解答することができていたと思います。
冒頭の戦略で記載した通り、この科目はいかに初見で資料を整理して計算プロセスに持ち込めるかが勝敗のカギを握ります。
そのため、初見でいかにさばくかということを短答答練で徹底的に訓練しました。
その後は、短答答練だけを反復するというスタイルは取りませんでした。あくまで網羅的に論点が収録されている問題集がメイン。
ただ、答練も復習したい問題の宝庫だったため、一部、問題集にないタイプのものだけ切り取って問題集にはさんで同じルーティンで反復しました。
一問一答問題集でのアウトプット形式の方が、テキストを漫然と読むよりも頭に入ったので、一問一答問題集をインプット教材代わりに使っていました。
その後、段々と、テキストを読む勉強に比重を変えていきました。あらゆる学習に共通することですが、アウトプットを徹底的にやり込むと、インプット作業の力点がはっきりし、効率がよくなります。
短答対策上の重要なポイント
短答においては特に、試験中に問題に手を付けたはいいが、結果答えが出せない、という事態が非常に致命的となります。
大切なのは、
・手を付けた問題は、合格点に届くためには何分以内に解けなければいけないのか逆算すること
・その前提として、手を付けるべき問題の選定力
この力が短答においては、決定的に重要な力です。
この力をつけるために、短答答練で実践練習をします。
そして、この力をつけるために、日々、短答問題集と向き合うのです。
私は、短答直前期は、短答問題集の苦手な問題を中心に回してから本試験に臨みました。
試験前日は、原価計算論点の比較的複雑な問題を時間を計って解き、計算慣れをして自信をつけてから本番当日を迎えましまた。
それくらい計算に対する感度に気を使って試験に臨みました。
管理会計はいわゆる「原価計算論点」と「管理会計論点」があります。
私の分析では、「原価計算論点」は複雑で計算量が多くなる傾向があるが、落ち着いてやれば答えを導ける可能性が高い、一方で「管理会計論点」は計算量は少ないが初見リスクが高く、勉強準備をしっかりやっておいたとしても、本試験で適切な対処ができるかどうかは水物である、というものでした。
そこで、私の場合、問題の解答順序として、理論を片付けたあと、原価計算論点の取りやすいと判断した2,3問をまず取りに行き、その後は管理会計論点の計算、原価計算論点のまだ取れそうな問題、というように解いていました。
この最初の2,3問がうまく乗り切れるかで、その後の時間配分、精神状態が大きく左右されました。ここで流れに乗れると、後半も落ち着いて問題と向き合えました。
論文試験の基本的な戦略
管理会計という科目の特徴として、短答対策と論文対策に、ほとんど差がない、やることがほとんど変わらないという点があります。
確かに、論文の出題形式は記述式で、短答とはアウトプットの仕方が異なるのですが、知識レベルでの差異は、全科目で一番小さいのではないかと考えています。特に計算については、何も変わらず、理論については多少のアウトプットの練習が必要になる程度です。
そのため、論文対策の中心的な部分は、当たり前ですが、既存の知識を、問われる形式でアウトプットできるように再インプットする、ということになります。
論文試験に向けてやったことまとめ
②テキストで、論文で問われやすい理論を繰り返し読み込む。
③短答の計算力を、論文答練や問題集で維持する。
勉強内容について具体的に
すでに書いた通り、他の科目で論文対策でやることが多い中、管理会計について、あらたに論文に向けてことさら力を入れて対策することはありません。
したがって、計算は論文答練をメインに回して、短答の時の力を維持することを目的としました。
計算については、あまり反復して復習しようという意識でなく、1問1問をしっかりと理解して潰すという意識を持ちました。
予備校が実施する、論点や問題ごとのランク付けや講評を元に、かなり強弱をつけた復習の仕方を心がけました。
論文答練に出た理論問題はすべてテキストの方にチェックを入れ、テキストの方を回しました。
たとえば、原価計算の計算方法や管理会計論の各手法のメリット・デメリット、計算の背景・理由などについて、きちんと整理してアウトプットできるようにしておく必要があります。
テキストについては、1日に決めたページ数ずつ淡々と読み進め、更に、論文答練のすべての理論問題をザッと総まくりしました。
直前期は、答練で全範囲を1周させた後、苦手分野を拾いながら潰して行きました。
これで理論は大丈夫だ、という自信を持てるようになりました。
まぁ、本試験はさえない結果となりましたが…
最後に、もう少し深掘りして管理会計論を深掘りした記事もありますのでご参照ください。
以上、管理会計が苦手だった人の勉強記録として、皆さんの参考になればと思います。