【辛口】会計士という選択でよいですか?(キャリア選択論)

いきなりですが、あなたは本当に公認会計士という資格を目指したいですか?
なぜ公認会計士を目指すのですか?

今回はそのようなことを少し辛口に書いてみたいと思います。
その理由は、実は、会計士になった後で、とても苦しんでいる人がたくさんいるからです。

会計士試験の勉強を始めようと思い、勉強法を調べたくてこのブログにたどり着いてくれた方がいらっしゃると思います。

この記事によって、人によっては、会計士になりたいという思いがより強くなるでしょうし、もしかしたら会計士を目指す気持ちの腰を折られるような耳の痛い記事になるかもしれません。

しかし、会計士として、専門家として、人生を幸せに生きていくためには、とても大事だと思う「マインド」について書きます。

目次

会計士を目指す理由を明確にする

のっけから釘を指すようですが、

・あなたは本当に本心から会計士になりたいですか?
・会計士になって、何を実現したいのですか?
・あなたの人生の目標や、ワクワクする未来の中に、会計士というものの存在価値はありますか?

会計士試験という大きなヤマを登る前に、まず根本的に、これを自分自身に問うてみることをお勧めしています。

具体的には、以下のような理由で会計士を目指そうとしている方、私は少し心配しています。
 

・周りに会計士を目指している人がいるから、なんとなく。
・一般企業に行きたくないから、という理由で消去法的に会計士を選ぶ。
・予備校の説明会に行って、輝かしい会計士の未来を聞いたりして、なんとなく流されて目指そうとしている。
・高収入が約束されていると思い込んでいる。

 
まず大前提として、会計士という肩書を使って仕事をしようとすれば、世間からは専門家として扱われます。

会計士は、専門家としての知識、経験をクライアントに提供するサービス業です。
その意味で、専門家としての役割や価値をクライアントからは期待されます。

クライアントからは「会計士なら、これを教えて、これを解決して」、というニーズに対応することになります。

そして、このニーズに対応するためには、当然ながら、実務経験以外に、自分自身で情報をインプットしたり、勉強を続ける必要があります。

ここまで読んで、「そんなの、当たりまえだろ。そういう専門家になりたいんだ」と思った方、その過程が楽しくて仕方がない人、専門性で困っている人を助けたい人は、会計士としてのキャリアの選択は非常に合っていると思います。

しかし、一方で、自分の時間や人生を、会計士としての価値向上を努めることや、他人の会社の監査に捧げることに、少しでも疑問を感じる方、そこまで、会計や監査の奴隷になりたくない、と思う方がいるのであれば、もしかしたら会計士は向いてないかもしれません。

さらに言うと、人生を会計専門家としての時間に使うことになっても、この職業、非常に高収入という訳ではありません。
試験の難易度や専門性の高さに比べて、収入がそれに見合って高くはないというのが特徴です。

確かに上場企業の会社員の平均以上をもらえるのは間違いないので、決して食うのに困ることはないですし、割と豊かに暮らせると思います。

しかし、高収入といえるような収入帯(たとえば1500万円以上)を望めるサラリーマンとしての会計士は、大手監査法人ではパートナー以上であったり、他業界でもM&A関連や外資系金融や投資銀行などの一部になります。

会計士試験を合格したうえで、さらに大手監査法人でシニアマネージャーまで行ける人は一握りですし、そもそも大手監査法人にそこまで居続ける人も多くはないでしょう。
その他の高収入の他業種については、会計士といえども、転職する難易度はとても高いのが現状です。

このように、収入面だけを見ると、会計士としての価値向上に努める時間、実務の時間をすべて合わせると、時間単価は小さいものとなります。

何に喜びを感じるのか、何に対して充実感を感じるのか、そして何が得意分野なのか。

会計士になることの意義、会計士になって何をしたいのか、どうなりたいのか、

ここに曖昧さがあるなら、もう一度じっくり考えてみることをお勧めします。

会計士の競争環境

当然ながら、試験に合格すると、試験を突破した、ただ者でなく優秀な会計士同士の競争があります。

会計専門家としての鍛錬そのものを楽しんでいる人に、一生懸命あがいて頑張っているだけの人は勝てません。

会計士同士の競争社会とはそういうものです。

会計的な専門性があるのだから、世間一般的に希少な存在であると、思われるかもしれません。

これについても、会計士以外の世界で、例えば一般企業の経理部や経営企画などの部署において、会計士がとても希少な存在価値かというと、実はそうでもありません。

そういう世界にも、必ずツワモノがいます。その企業や業界の実務で鍛錬されてきた優秀な人材が必ずいます。

それゆえ、会計士が監査法人でこそ通用した人材であったことを思い知らされる人もいます。

会計士だからといって決して安泰ではないのです。

会計士としての価値をどこに置くのか

まだこれから会計士を始めようとしている方、少し始めてみたけど少し違和感を感じ始めている人は、次のことを少し考えてみてください。
 

1.人には向き不向きがあります。
会計士を始める前に簿記を手始めに勉強してみて、向いているかどうかよく検討してみることです。性に合わないと思ったら、やめることが大事です。

2.会計士を目指したいと考えたとき、自分の本心を聞いてみて、内的な価値(自分自身の価値観)と外的な価値(社会的な価値観)のどちらにより傾倒しているか考えてみてください。

 
もし、内的な価値から会計士になりたいと考えているのであれば、それは目指すべきです。

しかし、外的な価値、つまり、社会的な地位や人からの評価を期待して、目指すだけであれば、少し立ち止まって考え直した方がいいかもしれません。

人は内的な価値もなしに、好きでもないことを、ずっと続けられる生き物ではないからです。
どこかで、行き詰まることがあります。

それでも会計士は素晴らしい

ここまでさんざんネガティブなことを書いてきましたが、最後に、それでも公認会計士は素晴らしい資格であることを書いておきます。

会計士試験で勉強する内容というのは、この資本主義社会、経済社会で生きるあらゆる人にとって、前提となる知識のオンパレードです。

しかも、それをかなり深いレベルで学習することになるのです。

この知識は、仮に会計士を取った後、会計士業務以外の全くちがうビジネス世界に方向転換をすることになったとしても、必ず使えるものばかりです。

実はビジネスで唯一足りていないものがあるとすると「マーケティング」になると思いますが、それ以外のほとんど網羅していることになります。

更には、この試験を取得しているという事実自体が、一定の信頼や信用を個人にもたらしてくれます。

会社とか組織に対する信用や信頼ではなく、信用や信頼が個人に付くというのは、かけがえのないビジネス資産であることは明白です。
これは非常に大きなことです。

どんなビジネスの世界、あるいは投資の世界で生きていくことになったとしても、決して取っておいて損をすることのない資格であることは間違いありません。

ただ今回書いておきたかったのは、ちゃんと自分の幸福の原点を見つめ直すきっかけを持ってもらいたかったからです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は辛口に会計士というキャリアについて書いてみました。
この記事が、あなたの幸福なキャリアのための一助になれば幸いです。

2014年度に公認会計士試験に合格したときの成績表と勉強法まとめは、こちらからどうぞ。

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サイト運営者

【職業】
❏ IT監査人 (公認会計士 / 公認情報システム監査人(CISA))
【コンセプト】
❏ このブログは、「自分らしく人生を豊かに生きる」を追求するべく、一人の公認会計士が試行錯誤してたどり着いたキャリア論や学習論を発信しています。
❏ 現役のIT監査人としての生の情報を公開するとともに、度々の転職経験と、受験や難関資格試験を経て得た学習の考え方をご参考ください。
【経歴】
❏ 慶應義塾大学卒業後、上場会社の社内SEを経て、公認会計士を取得。金融機関及び上場会社のIT統制監査をメインに監査業務及びコンサルに従事。会計アドバイザリー、システムリスク評価支援なども経験。

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